事例紹介

市販メガネレンズのコーティング膜強さ分布調査

  • プラスチックレンズ
  • 光学薄膜
  • ハードコート
  • AR膜
  • ナノ薄膜

目的

2種類の市販メガネレンズ表面多層コート内部の強さ分布の実態を調べる。

試験条件

・サンプル:市販の使用済みメガネのレンズ2種:レンズ1・レンズ2
・試験条件:超高分解能条件・・・多角粒子試験(GA1)

試験結果

表層から基材まで

レンズ1及びレンズ2のMSE試験結果を重ねて表示した。
左図はエロージョン進行を示し右図はエロージョン分布(深さ方向の強さ分布を示す。)
レンズ基材透明樹脂が露出するまでの試験を行う。

case_08_01.png

・表層300~400nm厚さに強い層がありAR膜と想定される。
・その後2,700nm(レンズ2)又は3,250nm(レンズ1)は弱い層が形成されハードコート(硬いが脆い)膜と想定される。レンズ1がレンズ2よりも強い材質となっている。
・ハードコート以降は樹脂基材でCOP材料と想定され、強さは両者同じになっている。
・AR膜とハードコートの界面部は弱いピークがある。

 

表層部の拡大

AR膜はSiO2とZrO2の薄膜多層積層で、断面SEMからのZrO2層を着色で示した。

case_08_02.png

・AR膜のSiO2膜は強く、ZrO2膜は比較弱いことがわかる。
・各ZrO2膜の強さはレンズ1ではバラつきが大きいが、レンズ2ではほぼ均質な強さで成膜されている。
・ハードコートとの界面部強さはピーク弱さがほぼ同じで、その後の変化カーブが異なる。

評価

・ナノレベルの薄いAR膜の強さは、薄い所が充分な分解能ではないが、膜質としての強さの参考にはなる。
・界面部の弱さピークの発見は、本試験のみでは原因が判断できないが、改善の対象になる。
・ハードコートの強さの差は脆さを含んだ強さを示していて、一般的な鉛筆試験硬さと異なっている。

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