事例紹介
有機コーティングの配合比と強さの関係調査
- クリアコート
- アクリルウレタン
- 硬化剤
- 光重合剤
- 2条件試験
目的
有機コーティングの A:主材質の違い B:硬化剤配合量の違い C:光重合開始剤添加量の違い をそれぞれ変えた時の強さと脆さの変化を可視化する。
試験した有機コーティングの情報
試験結果
2条件のMSE試験で得られたエロージョン率から各材質の平均値をとって各材料の代表値とし、横軸・縦軸にプロットしたMSEマップを示す。
なお、数値はエロージョン率の逆数にしたMSE抵抗値で示す。(数値が大きいほど強い)
主材質強さと靭性・疲労耐性の関係図
グラフより
A:主材質(UV硬化型クリアコート)の硬さを変えた場合の変化
主材質が変わると横軸(強さ)が変わる
今回の材質は縦軸(靭性)も変化する
B:硬化剤(2液硬化型アクリルウレタン)の配合比による変化
少0.2:標準1:多2
主材質が同一でも硬化剤の配合比で横軸(強さ)が変わる
=硬化剤との反応で材質自体が変わっているといえる
硬化剤が多いほど横軸(靭性)が向上している
C:光重合開始剤添加量による変化
微0.02:少0.05:標準1:過多2
添加量を変えても横軸(強さ=材質)はほぼ変わらない
=開始剤の添加量に関わらず主材質はほぼ変化していない
添加量過多で横軸(靭性)が低下していることから、添加量に適正値があることがわかる
まとめ
主材質の硬さや硬化剤の配合比を変えると強さと脆さが変わり、光重合開始剤の添加量には適正値があることがわかった。
参考に
一般に使われている鉛筆硬さ試験とスチールウール引っかき試験を行いMSE抵抗値と比較したグラフを示す。
・鉛筆硬さ試験とスチールウール引っかき試験は官能試験で飛び飛びの数値を示すのに対してMSE抵抗値は連続した数値を測ることができる。
・鉛筆硬さ試験とスチールウール引っかき試験では差の出ない強さをMSE抵抗値は敏感に検出している。